はてなアイデアと要望志向

はてなアイデアが投資志向の参加者が増えれば、そういうものとして回るという意見があるけれども、アイデアポイントには要望を実現する以外の価値がないのだから、要望志向よりもポイント獲得志向になるということはありえない。

たしかに貨幣とモノではそうした倒錯が存在するけれども、アイデアポイントでそうした倒錯が成立する可能性は現状ではない。なぜかというと、貨幣とモノでそうした倒錯が成立するのは、貨幣が強力な流動性(交換可能性、交換の自由度)を持っているからだけれども、アイデアポイントの形で持っていることのほうが、特定の要望に属するポイントという資産という形でもっていることよりも有利な理由があるだろうか。

そのためには、たとえば、つぎからつぎへと日常的に要望をたくさん抱いては適えられるという状況なら、自由な流動性のあるポイントを持っていることは有利だが、通常、参加者の抱く要望の数はそれほど多くない。流動性のニーズは非常に低い。

いや、本来の要望を得るために投機することもあるだろう、というけれども、この場合、ある程度もうけたら、その資金は、その特定の要望に投資され、以来動かされないだろう。そのため、その参加者の投機用資金は枯渇する。

つまり、特定の資産獲得が目的なら、そのひとは恒常的な投機メンバーにはなりえない。

流動性のニーズがつよくなるためには、自分が、非常にたくさんポイントを要望の形で必要するであろうという展望が必要で、そのためには、自分がはてなに対して、非常にたくさん要望を抱くであろうという認識が必要だろう。そういうことはおきそうにもない。そうでなければ、「余分なポイント」へのニーズはおきない。

つまり、ポイント需要を増加させるためには、「要望が実現されること」へのニーズより「たくさん要望できること」へのニーズのほうが上回る必要がある。しかし、通常、「たくさん要望できること」へのニーズはそんなに高くない。つまり、もうあまり要望が残ってない、実現待ち、という参加者にとって、「余分のポイント」がもたらす利益がほとんど存在しないのだ。

実市場では貨幣に対応する欲望は無限だが、はてなアイデアの参加者の要望は有限だ、ということが違いなのだと思う。