セブン・イヤーズ・イン・チベット

とりあえず、ダライ・ラマはメガネくんのなかのメガネくんである、ということらしい。しかしこの映画は奇妙な映画だ。事件がおきない。いや、出来事はたくさんおきて、主人公はたいそうつらいめにあったり、運命の転変をあじわったりするのだが、しかし、物語的な意味で何もおきない。つまり、なんというか、事件はあるが筋書きがないというか。たしかに七年間を見せられるだけで、出来事は主人公の上をただとおりすぎる。いや、だんだんいいやつになっていくんだけど、それもあたかも自然現象のように描かれる。つまり、「ドラマ」がない。それが欠点かというと微妙な話で、なんとなくそれなりのものを見たという感想は抱かせてくれる。ただ、「王様と私」パターンを幾らも出ていない、という気もしないではない。リトル・ブッダも思い出した。