岩井克人の「貨幣論」とか

読んだのは結構まえだが、うーん、たしかにそのとおりなんだけど、と、じつはあまり感心しなかった。(よくできてるとは思ったんだけど)なぜかというと、

貨幣はそれが他者にとって貨幣だから貨幣なのだ

というのはそのとおりなのだけど、交換過程論的な、つまり、具体的な交換の場面で出てくる話も重要なんじゃないかと思うわけで、貨幣の価値体系が自己完結的な、つまり、貨幣と価値の世界は完結してるというわけではなくて、たしかに労働価値説はまちがってるにしても、貨幣の世界には、たとえばケインズの賃金の下方硬直性みたいな、外的制約は存在すると思うのです。そのへんが軽視されてる気がする。

で、そのあとマルクス経済学系の本を読むと、ふむ、いやに金本位制にこだわるなあ、というのは、hotwired稲葉振一郎さんの連載で言われてたとおりだった。