天皇の社会学

http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20050214#p3
この辺の話、日本社会、あるいはその固有の近代化にとって、天皇は不可欠か、あるいは代替は可能だけれどもリスクが大きすぎるか、という問題は、社会学的に結論が出せないものなんだろうか。やってみないとわからない話なのかなあ。日本人であることがそれほど決定的にどうしようもなく日本人の個々人を規定しているとも思えないので、天皇がいなくなってもそれほどひどいことにはならず、なるようになるのは間違いないと思うけれども、それが、現状よりましか、移行期間でどういうリスクが発生するか、というのは確実なことはいえそうにない。(しかしどんな問題が起きるか、というのも全然、具体的には想像できないので、ひどいことが起きるといわれてもまるでぴんとこない。ただ、中短期的な問題として、天皇が権威のある状態で在野にあったら政治的に利用されて大変、という理屈は分かる。)で、もっと微妙なのは、現状で天皇が存在する、というか国家の制度として天皇が存在することのデメリットはどれだけのものか、ということで、このへんが、左派でも、そんなにみんな熱心ではないところなんだろう。やっぱりそのへんの予測が、実証的に出しうるものならいいんだけどなあ、というところ。

あと、この件で面白いのはちょっと前に出た靖国に前天皇は自分の意志で参拝しなかった云々という話で、どこかでわれわれの多くには、天皇と自分の意見が対立するのを避けたいという心情があるらしい、ということらしく見えた。そうだとするとなかなかこの話は倒錯しているのかもなあ、とも思うわけで。