今日のgoogleさまのお告げ google:反精神医学

反精神医学と家族、あるいは人間へのまなざし
http://suto.soc.hit-u.ac.jp/ssuto/papers/articles/a9801.html

こうしてレインらの家族研究は、アメリカにおけるそれとは別のかたちで家族を超えて〈社会的なもの〉と結びついていく。これはひとつの政治学、そして反精神医学となる。と同時に反精神医学は精神医学を超えていく傾動をもつ。すなわち、反精神医学の政治学で扱っていることがらは、分裂病者にだけではなくわれわれすべてに共通することがらであるのだと。こうして反精神医学は正常な人間は自分の精神を離れた存在であり、自己の慢性的殺害に甘んじている[Cooper, 1971=1978:15]として「現代の疎外」を訴え、「人民の解放」を目指す「解放の弁証法」を志向することになるのだ。そして、この志向は、われわれの経験を司るところを批判する。反精神医学の場合、これは分裂病の存在を否定することと接合する。「分裂病とか精神病とかいったものは存在しない、専門家によって貼られたレッテルにすぎない」という反精神医学の主張は、分裂病あるいは精神病を精神医学における神話(実際には存在しないもの)という位置を与えることになる[Szasz, 1974=1975, 1976](14)。と同時に、レッテルを貼る精神科医は経験の政治学を司る権力者として、それを可能にする精神医学という組織と制度はわれわれの経験を司る機構として批判の対象となる。