健康/病気という区分はどういうふうに社会的に構築されるのか。

病気と健康の日常的概念の構築主義的理解
http://www0.let.kumamoto-u.ac.jp/cs/cu/SChealth.html

社会学患者論
http://www.socius.jp/lec/24.html

 医学パラダイムの限界として提示したことを別の局面からみると、病気と健康の対概念のあいだにもうひとつの大きなカテゴリーが広がっていると考えることができる。それは〈障害〉である。いわゆる病気でもなく健康でもない−あるいは病気でもあり健康でもある−〈障害〉の領域が今日決定的に大きな意義をもつようになっている。

 これに対して、伝統的な医学パラダイムでは、病気と障害の区別、そして病者と障害者の位置づけがはっきりしていなかった。従来の慢性疾患や老人医療において処置が不適切な場合が多かったのはこのためである。またこれに呼応して一般の人びとも両者を混同している▼1。

 そこで必要なのは、現代の疾病構造に対応して、病気と障害、病者と障害者の概念をはっきりさせていくことである。これまで医学・リハビリテーション医学・社会医学.看護学.社会福祉論・医療社会学などさまざまな分野の論者がこの概念の区分をしているが、おどろくことに、その多くは共通して伝統的な社会学の役割理論から出発している。ここでそれらの議論を整理してみよう。